一口に看護師と言っても、病院やクリニックはもとより介護施設や児童福祉施設など活躍できる場所は多岐にわたります。そうした中、たとえば病院では年々増加の一途をたどる医療費の抑制により、地方の公的病院の再編が検討されてきました。人々が自宅など住み慣れた地域で暮らせるよう、地域包括システムの構築が進んでいるのです。これは在宅医療や在宅介護の形として現れ、結果として訪問看護師の重要性につながっています。加えて、病院再編はへき地医療の変革にも効果をもたらすでしょう。医療機関を訪れることなく自宅や職場でタブレット端末などを用い、オンライン上で診療できるからです。このように病院関係でも、看護師の取り巻く環境は変化しています。

さらに、児童福祉施設では病児保育や障害児保育などの療育面で、看護師の力が欠かせません。こうしたどのような場所で働く看護師にも、温かな心に基づいて患者の病状やニーズを冷静に判断する知識と、的確かつ柔軟に対応する技術が重要です。看護師の経験による知識と技術は主体的能力を通して、個々のスキルとして総合的に現れます。この主体的能力を身につけるためには、自己点検や研修などから看護師として能力を磨くことが求められるでしょう。このように看護師として熟練した技術に基づく自信や信念により、自分だけの看護観が生まれてきます。毎日の変化を繰り返しながら看護師として働いていくうえで、芯となる看護観が確立されていくでしょう。